2021.03.01更新

 ご無沙汰しております。

 

 言うまでもなく今年に入ってから最初の更新です。いやぁ,時が経つのは本当に早いですね。30歳になった頃には「胸やけ?何それ?」とか言っていた私も,松屋のマッサマンカレーを食べた後には永遠の胸やけ地獄に襲われるようになりました。決して松屋をディスってるわけではありませんよ。むしろ胸焼けしてまでも食べたいくらい美味しいという意味で礼賛しているのです。

 

 

 さて,あれは昨年の秋の頃でしたでしょうか。政府は行政手続における押印の原則廃止を発表し,ハンコ擁護派とハンコ廃止派の激しいやり取りが行われました。

 私のハンコにまつわる思い出といえば,「中学校の卒業記念でまず「角」の真ん中の縦線が突き抜けていないハンコ(要するにこのパソコンの画面通りの字)をもらった後に,「角」の真ん中の縦線が突き抜けているハンコ(戸籍上の氏名)の2本をもらい,最初は縦線が突き抜けている方を使っていたらハンコが歪んで全然押印できなくなって,仕方がなく「角」のハンコを使い始めたら現在まで使い続けてしまっている」というものでしょうか。エピソードめっちゃ長い。

 あとは,はじめての一人暮らしの時にアパートの申込書に緊張しながら渾身の力で押印したところ,朱肉がおかしかったのか次第に周囲に滲み始めちゃって結局押しなおす羽目になったことくらいですかね。申込書だけ神奈川県と長崎県を2往復しましたね。ロングジャーニー。

 

 

 まぁ,私のくだらない思い出話はさておいて,我々の業界は押印する機会が非常に多い業界です。裁判所に行っちゃ押印,検察庁に行っちゃ押印,警察署に行っちゃ押印。次第に押印の腕が発達してきて,いまでは朱肉さえおかしくなければかなりきれいに押印することができます。ただし,金融機関のベテラン行員さんにはまだまだ敵いませんので,印鑑届への押印の際にはお願いしちゃいます。

 この押印文化なのですが,私の理解では,押印という行為が「文書の成立の真正」に関わるものであると理解しています。つまり,自分のハンコが押されている文書は,普通は私自身が押したものなので,その文書自体も私自身が作成したものであると言えるからです。これを「二段の推定」と呼んだりしますが,詳しくは近くにいる法学部生や法科大学院性をとっ捕まえて聞いてください。

 

 

 このように,押印という行為は,ハンコが押された書類がハンコの持ち主によって作成されたことを意味するものなのですが,私の日々の業務の中でどうしても解せないものがあります。それは,

 

 「成年被後見人のハンコを要求される」

 

 というものです。

 

 

 成年被後見人というのは成年後見人が就いているひとのことですが,認知症や知的障害などで判断能力が失われてしまった成年被後見人の代わりに成年後見人が契約手続等の法律行為をするというのが成年後見制度の超簡単な説明です。

 この成年被後見人には,裁判所が判断能力がないと判断して成年後見人を選任することによってなるわけですが,その能力の程度には幅があって,話はできるけど意味が通じないといったレベルから,話すらできないというレベルまで存在します。ただ,いずれにしても契約手続をするなどの判断能力がないことは同じです。

 

 

 このような制度であることを踏まえれば,すべての手続は私のハンコでできるはずなのですが,行くところ行くところで「ご本人様のハンコが押されてないようなんですが・・・(冷笑)」という反応を受けます。

 そりゃそうでしょう。ご本人が手続できないから私が代わりに手続してるわけであって,ご本人のハンコが押されてたら,それはご本人が手続できちゃってるという意味か,私が文書を偽造しているかのどちらかであって,本来的にはご本人のハンコを押すというのはおかしなことです。

 私も若い頃はもう少しとがっていたので,「私が成年後見人に選任されてるんだから本人のハンコがないのは当たり前でしょうが」と抵抗していたのですが,あまりにも同じやり取りの繰り返しなので最近ではもう少し丸い言い方にしています。私がこの問題をどうやって処理しているのかは守秘義務の関係上省きますが,このやり取りをすること自体が無駄な時間だなぁと感じています。

 

 

 余談ですが,一番最初に挙げた裁判所と検察庁は,司法機関と準司法機関であることの関係から今回の押印廃止の流れから完全に取り残されているので,いまでもバンバンハンコを押していますが,警察署は行政機関なので押印廃止の流れが押し寄せてきています。これもあんまり言うと生々しいのでやめますが,接見時のあの書類にはこれまで3か所に押印しないといけなかったのに,年明けからは押印しないでよくなっています。これまでめっちゃ押印してきてたから,廃止を知ったときは本当にビビった。

 

 

 まとめると,「ハンコをうまく押せたときはすごい気持ちいいからハンコ押すこと自体は好きだけど,仕事でハンコ押すのはめんどくさいやり取りしなきゃいけないこともあるから,落款押すくらいがちょうどいいよね」ということですね。ごちそうさまでした。

投稿者: アダジオ法律事務所

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