2018.04.25更新

 またしても前回の投稿から長い時間が経ってしまいました。

 その間,大雪が降ったり,突然暑い日が続いたり,また急激に寒くなったり,今年の花粉量を楽しんでいたりしました。

 いまのところは,のどかな春でございます。

 

 

 さて,ゴールデンウイークが近づいていますが,「どこか旅行に行ったりしますか?」という問いに対しては,ここ数年「いや,近所をお散歩するくらいです。」と答えて,質問者を困惑させ続けています。

 実際近所をお散歩するわけですが,本当にただ歩き続けるだけで,どこかお店に入ったり,ご飯を食べたり,自撮りをしたりすることはありません。数時間歩き続けるだけです。

 ただこれは自分としてはかなり楽しいイベントなので,今年もやるかもしれません。あの遠回りしすぎて家まで帰ってこられないんじゃないかという焦燥感が「トロッコ」感をかきたてて尚一層興奮しますね。

 

 

 今日のメインイベントについては,ゴールデンウイークが近いので,何か楽し気な記事を書こうと思ったのですが,長らく触れてこなかった「アダジオ法律事務所」という名前の由来について語る日が来たようです。

 

 

 

 「アダジオ」とは,イタリア語の「adagio」のことです。「adagio」は,バレエ用語としても用いられることがあるようですが,私が意図していたのは,音楽用語としての「adagio」です。速度記号の中では,「アンダンテ」と「ラルゴ」の間の速さで「ゆるやかに演奏せよ」,テンポとしては遅い方に入ります。この「adagio」が日本語に訳されたときに,「アダジオ」と表記されるようになったと理解しています。

 私が前の事務所を独立して新た敷く事務所を開業しようと思った時に,特に考えていたことは「大量に事件を受任しない」ということでした。それは,いわば前事務所へのアンチテーゼなのですが,依頼者の方から電話がかかってきたときにすぐに誰だか把握できるくらいのサイズ感で事務所をやってみたかったということです。

 そのようなコンセプトで事務所の開業準備を始めたわけですが,弁護士会に事務所名を登録しなければならない関係から,何よりも優先して事務所名を決めなければならなくなりました。それで当初は,いろいろな名前を考えました。別にこれを言っても問題ないと思いますが,私はカタカナの事務所にしようと決めていたので,英語,フランス語,ドイツ語,ラテン語など様々な言語のいい感じの意味の言葉を探したのですが,検索してみるとどの言葉も,すでに法律事務所名や会社名に使われていたりして,なかなか事務所名を決められずにいました。

(ちなみに,「別にかぶっててもいいじゃん。」というご意見はあろうかと思いますが,私自身は人とカブることが大嫌いな性格なので,人のいないところ,やっていないところを探してさまよっていたわけです。)

 

 そんな中,あることで「アダジオ」という言葉にたどり着くわけですが,それには2つの出来事が関係しています。

 1つ目は,2012年に立原道造詩,西本龍太朗作曲による「混声合唱のための『アダジオ』」の初演に参加したことです。この曲は,長年神奈川県立横須賀高等学校で教鞭をとられ,2011年に急逝された湯川晃平(ゆかわ・あきひら)先生の追悼のために作曲された楽曲であり,私自身も約10年にわたって湯川先生から薫陶を受けた人間として,ステージに参加させていただきました。

 いま思えば,あの頃の私は人間生活を経験していないどこまでも青臭い存在で,その頃のことを思い出そうとすると少なからぬ痛みをわが身に想起させるのですが,この『アダジオ』を歌っていた時の記憶だけはなにかつきものが落ちたような,そんなカラッとした感情が残っていたのが印象的でした。

 2つ目は,宮崎駿監督作品「もののけ姫」劇中に登場する,久石譲作曲の「死と生のアダージョ」の存在です。私の人生の中で,人生そのものを変えたと言っていい作品群はいくつかありますが,その中でも1997年に公開された「もののけ姫」が私に与えた影響はあまりにも大きかったと思います。それまでの私の人生は,どこか曇った世界で見通しの悪い一本道を訳も分からず歩いていたようなものでしたが,「もののけ姫」を見てからは世界が晴れ上がって,初めて世界の形を認識したような実感を得たものです。

 その作品の中でも「死と生のアダージョ」は,私が特に気に入っている劇中曲であり,親にねだって買ってもらったサウンドトラックはCDが擦り切れるほど聞きました(まぁ,実際には擦り切れないんでしょうがこれは比喩です。)。その後,MP3形式のウォークマンが発売されてからは,歴代のウォークマンに収録し続け,いまでも私の手元のウォークマンには「死と生のアダージョ」が入っています。この曲も物語の終盤の暗澹たるシーンで流れていて,それ自体はあまりに悲しいシーンなのですが,映像の美しさと恐ろしさのせいなのか,ただただ曲に聞き入ってしまう凛とした曲です。

 

 こうして,私の中で一人一人の事件を丁寧に処理したい=ゆるやかに演奏するというコンセプトと「混声合唱のための『アダジオ』」及び「死と生のアダージョ」のイメージが一致した結果,「アダジオ法律事務所」という名前に決めたというわけです。(開業当時は,「アダジオ」という名の付く法律事務所も会社もなかったことも決めた理由としては大きかったと言えます。)

 なお,なぜ「アダージョ法律事務所」にしなかったのかといえば,字面だけ見ると「アヒージョ」と混同されるおそれがあるし,数年前に「アデージョ(艶女)」という少々品のない言葉が流行ったこともあって,日本人に発音しやすい「アダジオ」の方が良いのではないかと判断したからです。

 ただ,その結果として,ある宅配業者のおじさんは,うちの事務所に来るたびに「スタジオさん?」と聞いてきますし,ある広告でお世話になっている会社の担当の子からは「『ア』と『ス』って遠目だと似てるから(間違えられるん)じゃないですか?」というなかなかにパンチの利いた貴重なご意見を賜ったりと「アダジオ」の方もなかなか大変です。あと電話では絶対に聞き取ってもらえません。

 

 

 そんなわけで,エッジの利いた我が「アダジオ法律事務所」なのですが,今後どこかの事務所に吸収合併されない限りは,この名称を使い続けていこうと思っていますので,今後ともご愛顧のほどお願い申し上げます。

投稿者: アダジオ法律事務所

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