2015.11.12更新

 こんにちは。

 弁護士の角井です。

 

 飲み会が何日か続いたときは,時間感覚が失われてしまいますね。

 これは夢なのか?現実なのか?夢のように見える現実なのか?現実のように見える夢なのか?

 何やら危ない空気がしてきたので,このへんでやめておきましょう。

 

 さて,最近いろんな人から聞かれるようになったマイナンバー制度。

 私自身もあまり意識していませんでしたが,こうも話題になってくるとやはり気になります。

 ただ,マイナンバーに関しては充実したネット記事がありますし,私にそれを超える文章を書く能力はありません。

 あくまで簡潔に制度の概略についてお話しします。

 

 

1.マイナンバーとは何か

 

 マイナンバーとは,日本国内の市町村に住民登録している日本人及び外国人ひとりひとりに割り振られる番号のことです。また,法人にも同様に番号が割り振られます。個人番号は12ケタ,法人番号は13ケタの数字から構成されます。

 マイナンバーは,全員に異なる番号が割り振られますので,ひとりとして同じ番号を持っている人はいません。原則として,一生同じ番号ですので,何か縁起が悪いから変えたいということはできません。

 それでは,マイナンバーは何のために割り振られるのでしょうか。それは,「納税者番号」として用いるためです。勤務先からマイナンバーの提供について話があった人もいるかもしれませんが,それは源泉徴収票に番号を記載する必要があるからなのです。

 

 

2.住民票コードの違い

 

 マイナンバーの話を聞いたとき,既視感(デジャブ)に襲われた人もいたのではないでしょうか。「あれ,むかしむかし住基ネットとかいう問題があったような気がする。あれとの関係ってどうなるんだろう?」と。

 住民票コードは,文字通り住民票に与えられた番号です。住基ネットが始まったために,日本中で簡単に個人を特定するため,開始された制度です。

 「でもそんなコードを入力したことあったかなぁ。そういえば,免許証代わりに住民基本台帳カードを持ってる人はいたなぁ。みんなで調べてみよう!!」。なんだか小学校の社会科の教科書みたいな口調ですいません。

 しかし,国民の認識はしょせんその程度です。その理由は,①地方自治体の自治事務だったので行政がやる気を見せなかったこと,②住民票コードがなくても行政手続において困ることはなかったこと,③住民基本台帳カードは身分証明書として利用するために発行され,住民票コード自体の必要性はなかったことなどが挙げられるでしょう。

 それに比べて,マイナンバーははるかに規模が大きい話となります。その理由は,①推進しているのが各自治体ではなく国であること,②マイナンバーは社会保障関係の手続や災害時などの幅広い手続で必要になると予想されること,③行政だけではなく民間でも利用が検討されていることなどが挙げられます。

 

 

3.番号通知の手続

 

 10月から番号の通知が始まりました。横須賀市はまだかと思いますが,概要次のような手続で行われます。

 マイナンバーは,住民票上の住所に世帯単位で簡易書留で送られてきます。そうすると,住民票を移動しないで単身赴任している人や長期入院している人には届かないことになります。また,DV被害などで夫から離れて生活している妻は,夫にまとめて番号通知が行われるという問題点が指摘されています。ただ,これは事前の申告によって防ぐことができます。

 簡易書留で届くということは,郵便局員が対面で手渡しするということです。不在だった場合は,1週間の保管期間がありますが,それが過ぎると各自治体に返送されてしまいます。その場合,本人が住民登録している自治体に取りに行けばいいのですが,3か月程度で破棄される予定です。それでも番号自体が消えることはありませんが,自分の番号を知るためには,自治体に対し再発行を求めることになるでしょう(そして,たぶん再発行手数料がかかるでしょう。)

 

 

4.通知カードと個人番号カード

 

 マイナンバーに関連するカードは2種類あります。一つは,いま発送が始まった「通知カード」,もう一つは「個人番号カード」です。

 通知カードはその名の通り,国民に対してマイナンバーを通知するためのカードです。記載事項は,個人番号+氏名・住所・性別・生年月日で顔写真はありません。使い方としては,運転免許証やパスポートなどと組み合わせてマイナンバーの提供をすることができます。

 個人番号カードは,表面の裏面にそれぞれ記載事項があります。表面は,顔写真と氏名・住所・性別・生年月日です。裏面には個人番号が記載されています。また,ICチップが埋め込まれるとの事であり,Suicaみたいに使えるんじゃないかと目下話題沸騰中です。

 ただ残念なのは,せっかくICチップで番号の匿名化ができるのに,裏面にがっつりマイナンバーが書いてあるところです。落としたときにどうなるんでしょうね。怖いですね。

 なお,個人番号カードを作るのは義務でも何でもありません。ちなみに私は作りません。なぜなら興味がないから。

 

 

5.当面の使い道

 

 なにやら盛り上がっているマイナンバーですが,当面はあまり使い道がありません。

 勤務先から言われてマイナンバーを提供する必要がある程度ですが,これ自体も義務ではなく,嫌なら嫌と言えば済む話です。

 将来的には,公務員の身分証明書として使ったり,施設内に出入りするときのカードキーとして使う構想もあるようですが,いつごろ実現するのか,強制はできるのかなど不透明です。

 私自身としては,人間に番号を振って管理しようという発想自体に嫌悪感を覚えるので,あまり協力したくはないなと言ったところでしょうか。

 

 

6.雑談

 

 ちなみに,拘置施設や刑務所では収容者に番号をつけていますが(俗に囚人番号と呼ばれます。),あれにはちゃんと理由があるらしいのです。

 「刑事施設において名前で呼んでしまうと,実は薬の売人と購入者が同じ施設にいたり,関係している組織の人間がいたりしたときに気付かれてしまい,どちらかが危険に晒される。だから俺たちは,それを防ぐために番号で呼んでいるんだ」。ある警察官はドヤ顔で私に教えてくれました。その説明を聞いてからは,特に違和感なく接見に臨むことができています。説得力のある説明って必要ですね。

投稿者: アダジオ法律事務所

2015.11.04更新

 こんにちは。

 弁護士の角井です。

 

 事務所で仕事をしていたところ,横浜弁護士会のメーリングリストが目に留まりました。

 今日は,坂本堤先生の命日です。

 

 坂本先生は,横浜弁護士会の大先輩であるというだけでなく,横須賀高校の大先輩でもあります。

 「坂本弁護士事件」当時の記憶はありませんが,地下鉄サリン事件などの一連のオウム報道は鮮明に覚えています。

 まだその当時は,自分が横高に進学するなど,はたまた弁護士になるなど夢にも思っていませんでした。

 

 坂本先生と直接面識があるわけではむろんありませんが,私にとって坂本先生は何かにつけて意識せざるを得ない存在です。

 坂本先生が亡くなられた年齢に近づくにつれ,その思いは一段と強くなっています。

 

 朝日新聞の神奈川版では,「青春スクロール 母校群像記」という連載が行われています。

 我が母校である横須賀高校も取り上げられましたので,その頃は毎週欠かさずチェックしたものです。

 

 その中に,坂本先生について記載された箇所があります。

 少し長いですが引用します。

 

 

 『横須賀高校(以下,横高)の卒業生で決して忘れてはならない一人が,弁護士の坂本堤(故人,75年卒)だ。オウム真理教被害対策弁護団の活動をしていた坂本は1989年,教団幹部らによって妻と1歳の長男と共に殺害された。

3年間,坂本と同じクラスだった元横須賀市部長の森山武(57,75年卒)は「筋を通すけれど気さく。おちゃめな男だった」と振り返る。最後の体育祭では「緑」チームの団長に。

「個性の強いクラスをまとめられるのは彼だけ。みんなに慕われた」。命日に合わせ,今も11月3日には同級生らが集まる。』

 

 

 私が弁護士になったときに,弁護士会による新人研修がありました。

 その時のテーマは「業務妨害対策」。担当講師は,滝本太郎先生でした。

 滝本先生は,坂本先生と一緒にオウム真理教被害対策弁護団の活動をされ,ご自身もサリンをかけられるという被害に遭っています。

 

 その研修の最後に,滝本先生が次のようなお話をされました。

 「坂本やその家族が今もいる場所が日本に3つある。一つは,北鎌倉の円覚寺松嶺院内,一つは,弁護士会館内,一つは,長野・新潟・富山の三現地である。」

 私はその話を聞くまで恥ずかしながら知らなかったのですが,日本大通にある横浜弁護士会館1階には,入り口を入ってすぐのところにある柱に,坂本弁護士事件のプレートが設置されています。

 

 坂本先生が事件に巻き込まれたのは弁護士登録3年目のことでした。

 私ももうすぐ3年目に突入します。

 日々の案件処理で心をすり減らすことも多いのですが,坂本先生が見られなかった景色を見るためにも,慎重に案件処理にあたっていく所存です。

 

 あともう一つ。

 人の肉体は,「死」という生理現象によって失われますが,人の精神は人々に語り継がれることによって存続します。

 坂本弁護士事件を知らない世代がますます増えていく中,私一人でも語り継いでいこうと決意しています。

 あの事件は決して忘れてはならない事件ですから。

投稿者: アダジオ法律事務所

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